農業・農村開発

日本工営は、多くの開発途上国が抱えている農業・農村における諸問題を解決するため、灌漑排水施設・農村インフラ整備、農業生産から流通に関わる農産物バリューチェーン、地域開発全般に関わる総合的なコンサルティングサービスを提供しています。
日本工営の特徴は、受益者である農家のニーズや自然・社会環境に基づき、農業・農村インフラ整備(ハード)と営農・流通・組織強化(ソフト)の両面のアプローチによる農業・農村開発を、計画から事業実施、維持管理まで事業の全プロセスにおいて実施でき、さらには農業を中心として他技術分野と連携した地域総合開発を計画・実施できることにあります。
主な技術分野として、農村振興計画づくり、灌漑排水施設・農村インフラ整備にかかる調査・設計・施工監理・維持管理、営農改善、収穫後処理・農産物バリューチェーン改善、農民組織強化、農村インフラ運用・維持管理改善、環境社会配慮・ジェンダー、地方行政・政府職員能力・体制強化、農業普及手法の改善、栄養改善、金融やビジネス支援等を通じた、農業・農村の持続的な発展や受益者の農業生産・生計向上・安定化を目指しています。

農業・農村開発の主な事業実績

インドネシア国コメリン灌漑事業(I期、II期フェーズ2)

国名インドネシア
発注者 インドネシア国公共事業・国民住宅省水資源総局
プロジェクト名コメリン灌漑事業I期/II期フェーズ2
実施期間1990-1996(第I期)/2006-2015(第II期フェーズ2)
プロジェクト内容

インドネシアでは1984年に米の自給が達成されたものの、その後も高い人口増加率と一人あたりの米消費量の増大から、引き続き米生産の基盤強化を図ることが求められていました。コメリン灌漑地区が位置するスマトラ島南部の南スマトラ州とランプン州では当時ジャワから毎年約5万トンのコメ移入を余儀なくされており、新規灌漑開発が求められていました。

コメリン灌漑事業は、灌漑施設の建設、圃場整備、施設・水管理能力の強化を通じ、安定的に水を供給することにより、米の増産と農家生計の向上に資することを目的として実施されました。第 I 期で頭首工、幹線水路が建設され、第II期で2次水路、3次水路の開発と灌漑地域の拡張が実施されました。第II期フェーズ2完了時の総灌漑面積は59,148haとなり、インドネシアで4番目に大きな灌漑地区となっています。

日本工営は本事業の計画、調査段階から関わりました。本事業を通じた灌漑施設の建設と水管理能力の向上により、水稲の単位収量は事業実施前の2.5トン/haから5.0トン/haに増加、作付面積も倍増し、インドネシアのコメ生産量増大に寄与しています。

日本工営の業務

事業実施全体管理、詳細設計、工事業者調達支援、施工監理、O&Mマニュアルの作成、政府職員・水利組合に対する水管理強化支援、事業効果のモニタリング・評価、業務を通じた政府職員への技術移転、等

プルジャヤ頭首工(堰長215.5m、全門可動堰(洪水吐ゲート7門、土砂吐ゲート3門)、最大取水量 90m3/s)
左岸から見たプルジャヤ頭首工と取水施設。取水した灌漑用水は幹線用水路を経て受益地域に供給される。
第I期事業で建設されたコメリン幹線用水路(台形型コンクリート三面張り水路、最大設計用水量96m3/s)
灌漑地区内の水田で田植えをする農家。事業により、水稲の単位収量は増加した。

ルワンダ国東部県農業生産向上プロジェクト

国名ルワンダ
発注者 国際協力機構(JICA)
プロジェクト名東部県農業生産向上プロジェクト
実施期間2010-2013
プロジェクト内容

ルワンダは人口密度がサブサハラアフリカで最も高く、世帯当たりの農地面積も非常に小さい国です。農地の大部分が丘陵地で、天水に依存した生産性の低い不安定な農業が営まれています。近年増加する人口に対応した食料を生産するには、限られた農地での生産性を高める必要がありました。

プロジェクトでは、生産性の高い水稲栽培技術の普及、米の収穫後処理技術の改善、市場ニーズに合った園芸作物栽培技術の普及、農民組合運営能力強化、農業普及従事者の能力向上等を通じて、東部県の農業生産の向上を図りました。

技術研修では、適正間隔の目印付きのロープを使った田植え技術、ペットボトル容器を使った化学肥料計量技術、歩幅を使った面積計測方法、土壌流出を防ぐためのパイナップル畑への承水路の普及など、現地で容易に入手できる素材を使った技術を導入・普及しました。

日本工営の業務

東部県の稲作・園芸作物栽培・収穫後処理の概況調査、稲作・園芸作物栽培・収穫後処理技術マニュアルの作成、農家グループ向けの技術研修の実施、農業動物資源省職員の能力強化、等

収量を向上させるための適正な定植間隔の目印付きの麻ロープを使った田植え技術研修
現地の鉄工所で作成可能な簡易な構造の脱穀機を使った収穫後処理技術研修
女性農家を対象にした丈夫な野菜苗を育てるための苗畑での播種・育苗技術研修
現地で入手可能なバナナ茎皮を使った育苗ポットの導入と普及。ルワンダ政府はビニール製品を規制していた。

ケニア国北部ケニア干ばつレジリエンス向上のための総合開発及び緊急支援計画策定プロジェクト/トゥルカナ地方の持続可能な自然資源管理及び代替生計手段を通じたコミュニティのレジリエンス向上プロジェクト

国名ケニア
発注者 国際協力機構(JICA)
プロジェクト名ケニア国北部ケニア干ばつレジリエンス向上のための総合開発及び緊急支援計画策定プロジェクト(フェーズ1:ECoRAD1)
ケニア国トゥルカナ地方の持続可能な自然資源管理及び代替生計手段を通じたコミュニティのレジリエンス向上プロジェクト(フェーズ2:ECoRAD2)
実施期間2013-2015(フェーズ1:ECoRAD1)/2017-2022(フェーズ2:ECoRAD2)
プロジェクト内容

日本で災害というと地震と洪水が最初に想起されますが、アフリカ諸国では、まず干ばつを挙げる国が多いのが実情です。2008-2011年に「アフリカの角」地域で発生した大規模な干ばつでは、1,330万人が被災し、食糧支援や栄養改善、保健衛生、飲料水などの人道支援が必要な状態に陥りました。

国土の8割を乾燥地・半乾燥地が占めるケニアでも、先の2008-2011年の干ばつでは、被害総額1兆4,200億円にも上り、その対応が喫緊の課題となりました。本プロジェクトでは、干ばつ被害が発生した際の緊急援助だけでは不十分であり、常日頃から「干ばつに対する強靭性(レジリエンス)」を向上させておくことが重要である、との考えから、遊牧民に対する干ばつレジリエンス向上活動を実施しました。

日本工営の業務

フェーズ1: ため池建設・井戸掘削による新たな水源建設、既存井戸の維持管理指導、太陽光発電を利用した揚水ポンプ導入、家畜マーケット振興、養蜂業支援、養鶏支援、小規模ビジネス支援

フェーズ2: 井戸掘削による水源確保、水資源GISデータベース構築、牧草栽培圃場導入、女性グループに対する小規模野菜栽培支援、小学校給食における栄養改善支援、小学生に対する「野菜栽培絵日記教育プログラム」の実施、害木駆除と製炭促進

上記の活動に対する計画/設計、実施/運営、評価/モニタリング業務全般

プロジェクトで建設したため池とそこに集まる数千の家畜。ため池建設計画を策定する際には、京都大学とも連携し、遊牧民の行動パターンや家畜が好む牧草の種類など、文化人類学的な視点も加えた活動を実施した。
遊牧民は必要に迫られない限り自分の家畜を売りたがらないが、それにより干ばつで家畜が死んでしまうリスクも高まる。家畜マーケットを利用して、年老いた家畜を売り、保有する家畜群の新陳代謝を促す活動を実施した。
遊牧民は近年、女性と子供だけが集落に定住し子育てをする生活パターン(半定住)に変化しつつある。その生活様式の変化を捉えて遊牧民女性に対する小規模野菜栽培振興活動を実施した。
日本の小学校で行う「アサガオの観察絵日記」にヒントを得て実施した野菜栽培絵日記教育プログラム。野菜栽培普及のため、遊牧民の子供たちに夏休みに裏庭で親と一緒に野菜を栽培してもらう活動を実施した。

パレスチナ自治区市場志向型農業のための農業普及改善プロジェクト

国名パレスチナ自治区
発注者 国際協力機構(JICA)
プロジェクト名市場志向型農業のための農業普及改善プロジェクト
実施期間2016-2021
プロジェクト内容

パレスチナ自治区はイスラエルとの紛争の影響で分離壁に囲まれ、物流が不安定で農産物の市場価格の変動が大きく、農業資材の価格も高いため、農家の所得が低くて安定しないという課題があります。

プロジェクトでは、紛争地特有の課題とパレスチナ農業の強みの両方を把握したうえで、現地に合った農業普及手法を考え、農業庁職員の能力強化を通じて、対象農家の農業所得の向上と安定化を目指しました。

農業普及の手法として、既存の優良農家への視察や対象農家が市場を訪問して情報を得る機会を設け、市場志向型農業への転換のための動機づけを図りました。また、農家が実践できる簡易なマーケティング手法の開発、作物多様化による収益の安定化も図りました。さらには、男女農家間の情報・技術格差を是正するための研修を実施し、農業所得の改善に結び付くジェンダー主流化も目指しました。

日本工営の業務

ヨルダン川西岸地区の農業・農作物市場の概況調査、効果的な農業普及手法の構築、農業普及に活用する技術マニュアルの作成、農業庁職員が実施する農業普及活動の実施支援、農業庁職員による日本視察の支援、等

農家同士のつながり強化と技術共有を目的にした先進的ニンジン農家の視察。後ろに見えるのはヨルダン川西岸地区を囲み人と物の移動を妨げる分離壁。
外国人観光客が多いベツレヘムの卸売市場を訪問して市場ニーズの特徴や価格の違いを認識する野菜農家
女性農民のエンパワーメントのための先進的な養蜂農家の視察と技術研修
土壌伝染性病害が多発する農地でも栽培できる抵抗性接木苗スイカの導入と技術普及

農業・農村開発分野の主な業務受注実績

2020年6月期(2019年7月〜2020年6月)

業務名
発注者
バングラデシュ国都市機能強化事業準備調査 JICA
インド国ヒマーチャル・プラデシュ州作物多様化推進プロジェクトフェーズ2(第2期) JICA
パレスチナ自治区市場志向型農業のための農業普及改善プロジェクト(第3期) JICA
インドネシア国ルンタン灌漑近代化事業 インドネシア政府
スリランカ国北中部連珠型ため池灌漑開発事業準備調査 JICA
セネガル国南東部・カザマンス地域稲作を中心とした農業・栄養に係る情報収集・確認調査 JICA
スリランカ国農薬・肥料の安全・適正利用促進プロジェクト(計画フェーズ) JICA
アフリカ地域IFNA全アフリカ展開に向けた情報収集・確認調査 JICA
キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト(第3年次) JICA
ケニア国小規模農民組織強化・アグリビジネス振興プロジェクト JICA
インド国ヒマーチャル・プラデシュ州作物多様化推進事業フェーズ2準備調査 JICA
ネパール国タライ東部地区灌漑施設改修計画準備調査 JICA
ケニア国灌漑地区におけるコメ生産強化のための能力開発プロジェクト(第2期) JICA

2019年6月期(2018年7月〜2019年6月)

業務名
発注者
ケニア国トゥルカナ持続可能な自然資源管理及び代替生計手段を通じたコミュニティのレジリエンス向上プロジェクト(第2フェーズ) JICA
ミャンマー国加工・梱包技術導入による遠隔地域における高付加価値農産物のバリューチェーン構築に関する普及・実証事業 民間企業
インド国ミゾラム州持続可能な農業・灌漑開発のための能力強化プロジェクト(第2期) JICA
タンザニア国SHEPアプローチを活用した県農業開発計画実施能力強化プロジェクト(第1期) JICA
アジア地域ASEAN-JICAフードバリューチェーン開発支援に係る情報収集・確認調査 JICA
ミャンマー国集約型農業に資する優良種子生産と調整・販売事業普及・実証事業 民間企業
スリランカ国農業分野に係る情報収集・確認調査 JICA
ケニア国灌漑地区におけるコメ生産強化のための能力開発プロジェクト(第1期) JICA
ネパール国タライ平野灌漑農業振興プロジェクト JICA
ベトナム国ダラット高原花卉栽培技術高度化にかかる案件形成調査 民間企業
ベトナム国北部地域における安全作物の信頼性向上プロジェクト(第2期) JICA
ミャンマー国農業所得向上事業 ミャンマー政府
セネガル国セネガル川流域灌漑稲作事業準備調査 JICA
ベトナム国農業分野における中小企業海外展開支援及び今後の農業分野の協力方向性に係る情報収集・確認調査 JICA
セネガル国セネガル川流域灌漑稲作生産性向上プロジェクト(第3年次) JICA
ケニア国ビクトリア湖沿岸地域における潅漑整備計画に係る情報収集・確認調査 JICA
セネガル国食料安全保障とレジリエンスのガバナンスに係る能力向上プロジェクト(第二段階) JICA

2018年6月期(2017年7月〜2018年6月)

業務名
発注者
セネガル国セネガル川流域灌漑稲作生産性向上プロジェクト(第2年次) JICA
フィリピン国センサーネットワークとクラウド技術を用いた遠隔灌漑用水管理システムのための案件化調査 民間企業
インド国ミゾラム州持続可能な農業灌漑開発のための能力強化プロジェクト JICA
ナミビア国市場志向型農業・畜産復興に向けた情報収集・確認調査 JICA
ミャンマー国花卉種苗・生産農場造成事業(施工アドバイザリー) 民間企業
ルワンダ国小規模農家市場志向型農業プロジェクト(第3年次) JICA
バングラデシュ国地方行政強化事業 バングラデシュ政府
ミャンマー国農業開発支援プロジェクト(灌漑管理組織強化) ミャンマー政府
パレスチナ自治区市場志向型農業のための農業普及改善プロジェクト(第2期) JICA
セネガル国食料安全保障とレジリエンスのガバナンスに係る能力向上プロジェクト(第一段階) JICA
インド国協同組合を通じた酪農セクター生計向上事業準備調査 JICA
セネガル国小規模園芸農家能力強化プロジェクト(第2期) JICA

2017年6月期(2016年7月〜2017年6月)

業務名
発注者
ベトナム国成果連動型地方開発事業(成果連動型事業実施支援) JICA
ベトナム国北部地域における安全作物の信頼性向上プロジェクト(第1期) JICA
タンザニア国全国灌漑マスタープラン改訂プロジェクト JICA
カンボジア国種子生産・普及プロジェクト詳細計画策定調査(種子生産) JICA
インド国ヒマーチャル・プラデシュ州作物多様化推進プロジェクト(フェーズ2) JICA
キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト JICA
ミャンマー国貧困削減小規模インフラ情報収集・確認調査 JICA
スリランカ国北中部乾燥地域における連珠型ため池灌漑開発計画プロジェクト(第2期) JICA
タンザニア国県農業開発計画(DADPs)灌漑事業推進のための能力強化プロジェクトフェーズ2(ジェンダー主流化) JICA
ケニア国トゥルカナ持続可能な自然資源管理及び代替生計手段を通じたコミュニティのレジリエンス向上プロジェクト(第1フェーズ) JICA
フィリピン国ミンダナオ持続的農地改革・農業開発事業フェーズ2 フィリピン政府
セネガル国小規模園芸農家能力強化プロジェクト(第1期) JICA
インドネシア国食糧安全保障のための灌漑開発・管理長期戦略策定プロジェクト詳細計画策定調査(農業生産) JICA
インドネシア国食糧安全保障のための灌漑開発・管理長期戦略策定プロジェクト詳細計画策定調査(灌漑排水計画) JICA
ベトナム国中部高原水資源管理情報収集・確認調査 JICA
タンザニア国県農業開発計画(DADPs)灌漑事業推進のための能力強化計画プロジェクトフェーズ2(施工管理) JICA
ミャンマー国花卉種苗・生産農場造成設計業務(調査・設計) 民間企業
ミャンマー国地方部農村インフラ整備計画準備調査 JICA
セネガル国天水稲作持続的生産支援プロジェクト(第3年次) JICA
ミャンマー国集約型農業に資する優良種子生産と調整・販売事業普及・実証事業支援業務 民間企業
ミャンマー国加工・梱包技術導入による遠隔地域における高付加価値農産物のバリューチェーン構築に関する普及・実証事業支援業務 民間企業
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