ガバナンスやプロセスを評価基準にした自治体向けSDGs取組診断ツールで、地域のサステナブルな未来づくりをサポート

CHALLENGE

自治体のSDGs推進に向けた取り組み状況を、SDGs17のゴール別に評価して可視化する画期的なツール

TSUMUGI@™ あなたのマチからセカイへ

国連が提唱した持続可能な開発目標SDGsは、いまや全世界規模での取り組みになっています。日本でも、サステナブルな未来の実現にむけて、2015年以来、官民が一体となって取り組んできました。
SDGsも含めグローバルな取り組みは、国のイニシアチブで推進されてきました。SDGsにおいても、様々なステークホルダーによる取り組みの普及、連携、共創が求められるところ、国は地方自治体に対してSDGsを原動力とした地方創生の旗振り役として各種取り組み支援メニューを提供してきました。
日本の全自治体1,788のうち、「SDGsを推進している」と答えたのは、2018年度時点ではたったの9%でしたが、2021年度には、65.7%に上昇(注1)。サステナブルなまちづくりのための物差しであるSDGsを推進する流れは加速していきます。他方、SDGsに向かって自治体として実際に何を推進していけばいいのか、取り組みを加速化すべき分野はどこにあるのか、グローバルな共通指標であるSDGsをどのように自治体のアクションにつなげられるのか、効果的な仕組みづくりは簡単ではありません。
日本工営では、『KIBOH2030™』という、中小企業向けのSDGsの取り組み状況を診断できるツールを開発し、時間やコストを削減しながらSDGsを切り口に自らを知るツールとして認知されていきました。順調に導入が進む中で聞こえてきたのは、「自治体向けにもSDGs取り組み診断・見える化ツールがほしい」という声。サステナブルな未来に向けて実際のアクションにつなげるために、自治体の取り組み状況をSDGsの軸で診断し、課題や優位性を見える化する。2021年7月より、つくば市の協力を得て、自治体版のSDGs取組診断ツールの開発に着手しました。

  • 注1出典:自治体SDGs推進評価・調査検討会「平成30年度 SDGsに関する全国アンケート調査結果(平成30年12月11日)」「令和3年度 SDGsに関する全国アンケート調査結果(令和3年12月3日)」

SOLUTION

簡単な操作で、わかりやすく取り組み状況を診断・可視化し、課題と優位性を広く深く訴求する

民間企業と自治体で大きく異なるもののひとつに、社会に対する接点の多さが挙げられます。役所は部課別にそれぞれの高い専門性を持って公共事業を行っていることが特徴です。つまり、各部課によるSDGsに向けたそれぞれの取り組みの総和が、自治体としてのSDGsにおける進捗状況の結果となります。
加えて、多くの自治体は自ら設定したKPIにより各種計画の進捗管理をする仕組みを有していますが、SDGsを軸とした評価手法は現時点で確立されておらず、ローカライズした17のゴールと169のターゲットについて自治体全体の取り組み状況やその実施体制(ガバナンス)を管理し、自治体の課題や優位性を把握する作業は難易度が高く、時間と労力がかかります。またSDGsに関する認知度は上がってはいるものの、住民や事業者といったステークホルダーのSDGsへの理解促進も課題のひとつです。これら多くの自治体が直面する課題を解決していくために開発したものが、『TSUMUGI@™』となります。各部課の担当者がウェブ上の設問に選択形式で回答を入力すると、自治体のSDGs推進に向けた取り組み状況・体制の達成度が診断され、診断結果はチャート等で見やすく表示されます。自治体全体の状況はもちろん、17のゴール別、部課別など、多角的な切り口で表示できるため、課題や優位性も明確なものになりました。経年で使うことで、進捗管理の手法も確立できます。

RESULT

ALL日本工営で取り組む、自治体SDGs推進のコンサルティング

自治体が自らの取り組み状況を把握する価値は、多岐に及びます。庁内はもちろん、住民や事業者と進捗状況を共有することで、普及啓発や具体的な取り組みの促進を加速させることも狙いのひとつ。SDGs推進における課題には、庁内、そして住民や事業者への「自分ごと化」がありますが、その認知材料としても活用できるものに仕上げています。
実際に庁内ではSDGsに大きな価値を資する業務にもかかわらず、当事者たちがそれを認識していないということがあります。そこで課題を浮き彫りにするだけではなく、正しい認知や仕事への誇りの醸成などに役立つことも想定して、本格版の開発を進めています。現在は、実証を繰り返すことで、2023年度のリリースに向けて診断精度と機能面の実用性向上を図っている段階です。なお、『TSUMUGI@™』は、日本国内の自治体向けのみならず、世界各国各地域の状況に合わせてカスタマイズが可能です。現在、南米地域でも実証実験を開始しました。

『TSUMUGI@™』の開発の際に、最も注力したことのひとつは、設問の中立性を担保すること、有効性や信頼性を高めることです。その上で、169のターゲット、232の指標をしっかりと見渡し、日本の自治体が取り組むべき内容に落とし込んだ上で、設問を可能な限り簡潔にまとめています。監修に協力いただいたのは、自治体SDGsの研究者として知られる法政大学の川久保俊教授。内閣府の有識者検討会において使用された資料や報告文書など、さまざまなデータや情報を整理し、人口規模や地理的特性が多様で、行政的区分が異なる全国の自治体が共通で導入できる、中立性が高い設問や表現の徹底を実現しました。
SDGsの推進で話題に挙げられるのは、17のゴールの達成です。しかし、日本工営では、ゴールの達成だけを目指していません。ゴールまでのプロセスをしっかりと整備することで持続可能性を確かなものとし、しなやかでサステナブルな未来を描いて実践していくことこそ、大切と考えています。
真に「持続可能な社会」をつくるために、私たちはこれまでの業務を通じて、都市、河川、港湾、鉄道、道路、環境、防災、電力などの知見を蓄えてきました。『TSUMUGI@™』は、SDGs推進における「診断・見える化」の役割を担いますが、日本工営の技術と専門性を生かしてプランニングから実施に至るまで、日本工営は総合的なサステナビリティ・コンサルティング・サービスを提供し、各自治体の伴走者として持続可能なまちづくりをサポートできる体制を整えています。
『TSUMUGI@™』という名称は、日本語の「紡ぐ」の意。副題の「あなたのマチからセカイへ」をテーマに、地域のヒト、モノ、コトをつむぎながらよりよい未来を共創していきたいという決意を込めて、リリースします。

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