新興国ミャンマー 開発プロジェクト

ミャンマー・ヤンゴン港

インドシナ半島の北西部に位置するミャンマー連邦共和国。2008年、ミャンマーを襲った「サイクロン・ナルギス」は、
死者10万人を超える大災害をもたらした。その後、ミャンマーは軍事政権から民主主義国家へと大きく舵を切り、
現在、東南アジア最後のフロンティアと言われ、急激な経済発展の真っただ中にある。

日本工営にとってミャンマーは「忘れてはならない国」の一つだ。
1954年、創業者である久保田豊は当時のビルマ政府と調印し、日本工営にとって初の海外プロジェクトとなる
「バルーチャン電源開発計画」を手がけることになった。
このプロジェクトは、日本にとっても戦後賠償第一号案件として日本の外交史に刻まれることとなった。
2009年初頭、サイクロン被害の復旧事業を担うべく一人の男がヤンゴン港に着いた。それが石見だ。

  • PROFILE

    石見 利久

    コンサルタント海外事業本部 交通・都市事業部
    港湾・空港部 ヤンゴン港開発事務所 所長
    1995年入社

    入社後5年間は、国内事業本部 交通技術部に配属。港及び海岸関連プロジェクトで計画及び設計を担当。2000年に海外事業本部に異動後は、ベトナム、インドネシア、リビアなど30カ国のプロジェクトに参加。2004年インド洋大津波発生後のスリランカでの災害復旧等を経て、2009年よりミャンマーの災害復旧事業へ。以来、ミャンマーを拠点にASEAN諸国の経済発展や災害復旧を担っている。

  • 石見 利久
  • 01改修工事の枠を超えて

    サイクロン・ナルギスが襲来した2008年当時、日本政府は軍事政権下にあったミャンマーに対し、人道支援に限定した協力にとどまっていた。だが、未曾有の大災害に対し緊急措置を決定した。それがヤンゴン港及び内陸水運施設改修プロジェクトだ。実施にはJICA(国際協力機構)が動いた。石見に課せられたミッションは、被災した港湾施設の復旧だ。だが、実際はそれまで担ってきた仕事の範囲を大きく超えることになった。当時のミャンマーは、軍事政権の影響で先進国からの技術支援が限られており、技術進歩から取り残されていた。例えば被災した船舶を修理する際にも、現地の技術者では日本の3倍近くも時間がかかる。石見は港湾施設の復旧のみならず、すぐさま日本から造船や溶接の技術者を派遣し、現地技術者の能力向上を図る技術移転を行った。

  • 改修工事の枠を超えて
  • 02建築コンサルタントの使命とは

    石見には、思い出深いプロジェクトがある。それは海外事業本部に異動後、最初に担当したベトナムの案件だ。港の設計・施工監理を担当した石見は、完成した港の背後にできた工業団地を見て、自身の使命をあらためて思った。工業団地で生産された製品が、石見の思いが詰まった港から日本へと運ばれていく。その結果、日本にベトナム製品が増え、現地の雇用・経済状況も安定し、国が発展していく。これこそが海外で活躍する建設コンサルタントの矜持ではないか、と。鎖国状態が長く続いたミャンマーで、自分は何ができるのか。「港」「海」をキーワードに、どれだけ相手国の発展に寄与できるのか。今、石見はミャンマーを拠点として、広くASEAN諸国の案件も担っている。

  • 建築コンサルタントの使命とは
  • 03当事者として未来を見つめる

    石見のミャンマーでの「仕事」は、案件単位のプロジェクトの枠を超え、ミャンマー、さらにはASEAN諸国の未来をデザインするための「ブレーン」へと進化している。ミャンマーでは、赴任以来、地元住民から政府高官に至るまで、あらゆる層のパイプもできた。「日本人の視点」だけでなく、現地の「当事者」として国の発展について考え続けているのだ。最大都市であるヤンゴンと、中部の中心地であるマンダレーを結ぶ国内基幹物流網の構築をはじめ、現在では、ティラワに作られる経済特区にあらたな物流の要となる港を建設するプロジェクトが動いている。だが、20年、30年後のミャンマーの経済発展を考えると、まだ充分ではないことはわかっている。石見の闘いはまだ終わらない。

  • 当事者として未来を見つめる
  • 04深く確かに心に刻んだ社是

    経済封鎖による鎖国状態が続いたミャンマーは、民主化により国として急激に発展しようとしている。だが、長年放置されてきた法律の改定や、第二次大戦以前に整備されたインフラの改修など、取り組むべき課題は山積だ。その変化を肌で感じてきた石見は「日本の明治維新もこんな感じだったのではないか」と捉えている。「誠意をもってことにあたり、技術を軸に社会に貢献する」。創業者である久保田豊が掲げた社是を、日本工営にとって忘れ得ぬ国・ミャンマーで石見は深く確かに心に刻んだ。相手国への誠意、そしてともに働く仲間への誠意。国の経済発展に寄与するという大命題に立ち向かうためには、信頼関係こそが大事だという。石見が日本でくつろぐ日はまだ遠い。

  • 深く確かに心に刻んだ社是