再生可能エネルギー発電等のアグリゲーション 2022年、アグリゲーション事業参画を目指す

NEEDS

再生可能エネルギーの安定供給からRE100を目指す

発電における再生可能エネルギー(以下、再エネ)の比率を高め、温室効果ガスの排出を削減していくことは、世界や社会で確実な流れとなっています。しかし、我が国における火力発電の割合は、2019年度現在で75.7%(注1)。その内訳は、石油が6.8%、石炭が31.8%、LNGが37.1%と、まだまだ化石燃料に頼っている現状です。対して、温室効果ガスを排出しない発電方法は、原子力発電が6.2%、再エネ発電が18.1%となりました。
パリ協定により、世界中でカーボンニュートラルに注目が集まる昨今、2020年10月に菅義偉首相(当時)は、国内の温暖化ガスの排出を2050年までに「実質ゼロ」とする方針を表明しました。この実現に向けて、我が国は官民学を上げての取り組みが始まっています。
日本の再エネ政策は、2022年4月に大きな曲がり角を迎えました。これまでの発電施設を増やしていくことに主眼を置いた固定価格買取制度(改正FIT法)が見直され、再エネを自由な電力市場に統合していくためのFIP制度に切り替わります。FIP制度は、再エネ賦課金の国民負担を軽減するための制度であり、FIT制度で免除されていた発電バランシング業務(発電量予測・計画、電気販売、インバランス責務など)が再エネ発電事業者に課せられことになります。
欧米ではすでに施行されている制度ですが、日本では初めての試みです。施行にあたり、国を挙げて、「再エネ発電事業者に代わって発電所を束ねて発電バランシング業務の代行を担うアグリゲーターの育成」に取り組み始めました。日本工営は、経済産業省が一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)を通じて公募した「令和3年度 蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金(再生可能エネルギー発電等のアグリゲーション技術実証事業のうち再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業)」に申請し、採択されています。
再エネの最大の課題は、電力の安定供給です。特に太陽光、風力、流れ込み式や従属条件の水力の発電状況が気象条件により変動することが課題です。日本工営では、国が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組みに賛同し、来年度導入されるアグリゲーターライセンス制度とFIP制度の施行に向けた準備、施行後の事業化を強く推し進めていきます。

  • 注1出典:エネルギー白書2021

SOLUTION

再生可能エネルギーの上流から下流までを知るアグリゲーターとして

図 実証のスキームイメージ

再エネの比率拡大のためには、発電に関することはもちろん、電力市場や需要家との取引など、総合的な知識と技術が必要になります。
まず、採択された実証事業では、変動性が高い太陽光発電など自然エネルギー由来の再エネ発電設備と、蓄電池などの分散型エネルギーリソースを組み合わせた技術の実証を行います。具体的には、需給バランス確保のための発電量予測や、インバランス回避、蓄電池を活用したタイムシフトによる収益性の確保などの技術が対象です。
また、日本工営では、創業時より水力発電に関するコンサル業務から設計・製造・工事・運用支援を行ってきました。現在、いずれもFIT制度を活用して従属条件で運用している自社水力発電所が国内に9箇所(発電出力約3メガワット)あり、今回の実証事業の対象としております。
日本工営では、電力の新時代の到来を予見して、電力に関わる部署を2020年7月に統合しました。『エネルギー統括事業本部』を設立し、社内の知見を集約しています。また、再生エネルギー分野で先を行く欧州では、「NIPPON KOEI ENERGY EUROPE B.V. 本社:ロッテルダム(以下、NKEE社)」の設立に加え、ベルギーの欧州で蓄電プロジェクトを協業しているYUSO B.V 本社:ワレヘム、(以下、YUSO社)」に出資し、同社が有する欧州におけるアグリゲーション事業ノウハウの日本への移転も同時進行で推進しております。

POINT

我が国のエネルギーおよび環境問題の解決と、SDGs達成を牽引する旗手となる

図 日本工営の目指すアグリゲーション事業のイメージ

2022年度導入されるアグリゲーターライセンス制度やFIP制度は制度詳細の微調整が継続されている2021年11月時点では、再エネ発電のアグリゲーション事業が一定以上の利益を得られるものになるか否かは、いまなお不透明な状態です。多くの電力関係企業においても、仕様が固まってからの事業化や、先行企業の動向をもとに参入を検討する企業がほとんどと言ってもよいでしょう。しかし、日本工営では、エネルギー資源がない我が国の窮状や2050年カーボンニュートラルを目指す国の指針を後押しする存在になるべく、真っ先に取り組む意思を示しています。
また、再エネ発電比率の向上は、地球環境における未来へのアクションとして国連で採択されているSDGsの達成に必要不可欠なものです。現在、再エネ拡大に取り組む中で見えてきた事は、自治体様も、企業様もRE100のエネルギーに非常に高い関心を持っているということです。日本工営では、「顔が見える再エネの電気」を、「安定的に供給」するため、技術の確立を急ぎ、次世代のアグリゲーターとして日本の飛躍の礎となることを宣言します。

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