ディープラーニングを用いた未経験洪水の予測 水災害・土砂災害におけるAI技術活用の取り組み

CHALLENGE

未経験の災害の増大

日本全国の一級河川で稼働している従来の洪水予測システムでは、取得情報が足りないことにより予測精度が必ずしも十分ではなく、住民の迅速な避難判断に活用できないケースが散見されます。
また、複雑な降雨による流出予測を行うための取得データが限られていることから精度向上や学習データを上回る洪水の予測は難しいとされてきました。この課題に対し、日本工営ではAI技術を用いた河川水位予測技術を開発しています。

SOLUTION

AI技術を用いた河川水位予測モデル

近年、人工知能(AI)の発展は著しく、特にディープラーニング(深層学習)という新しい学習手法の登場により技術革新が急激に進んでいます。
日本工営では、このディープラーニングを適用した河川水位予測手法を2015年より構築し、精度向上を図ってきました。
これまで日本工営の技術者が培ってきた水文・河川の知識や経験を、ディープラーニングのモデル構成や学習過程に反映させることで、精度の高いモデルを実現しています。
また、統計モデル全般の課題である物理特性に対する脆弱さを、ディープラーニングモデルと流出モデルの組み合わせにより補う手法など、進んだ技術開発に取り組んでいます。
これらの取り組みにより、未曾有の大洪水の予測や、予測が困難とされている都市中小河川での適用、画像認識技術とレーダ観測を組み合わせた予測など、より高度な適用性向上に取り組んでいきます。
また、自己学習機能を組み込み、ニューラルネットワーク洪水予測やメンテナンスの簡易化、利便性の向上を図っています。

RESULT

経験のない規模の洪水に対する適用

2016年北海道東北豪雨での網走川の水位予測

開発したディープラーニングモデルを、北海道・東北豪雨災害における網走川の洪水、西日本豪雨災害における高梁川の洪水で検証しました。
ディープラーニングモデルに、過去の洪水データ(網走川は1998~2016年7月の上位16洪水、高梁川は2002~2017年の上位22洪水)を学習させ、学習データにはない未経験の規模の洪水(北海道・東北豪雨災害、西日本豪雨災害)をシミュレーションした結果、実際に観測された水位を予測できており、洪水予測に十分な精度が実現できました。
今後は水災害・土砂災害に関する防災AI技術を世の中のニーズに合わせて社会実装するとともに、発展の著しいAIの先端技術を取り込んで、さらなる技術開発に取り組んでいきます。

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