インタビュー

地方創生SDGsの推進を支援する、自治体向けのSDGs取り組み状況診断・可視化ツール

自治体の皆様のSDGsに関する取組みを可視化、加速化

INTRODUCTION

これまで、私たちは建設コンサルタントとして、日本国内はもちろん、世界のさまざまな地域のくらしや発展に必要な、さまざまなインフラストラクチャー事業を展開してきました。河川、ダム、道路、鉄道、港湾、空港、上下水道、電力など、その領域は多岐に渡ります。これら都市基盤づくりにおける業務で得た経験を集積し、私たちはスマートシティ開発に参入することにしました。最大の特徴は、「人にやさしい」ことです。最先端のテクノロジーも駆使しながらも、その土地が育んできた歴史やつながりなどを汲み取り、人に寄り添った新しい都市・街区の計画を提案していきます。世界中の国々が、SDGs達成に向けた取り組みを進めています。2020年からは、「行動の10年」に移行。日本でもさまざまな企業や市民による、アクションが起こり始めています。2018年より日本工営では、中小企業向けのSDGsの取り組み状況を診断するための『KIBOH2030™』を開発。時間や労力を極力抑え、SDGsを切り口に自らを知るツールとして認知されていきました。そして、2022年、新たに自治体向けのSDGsツールとして『TSUMUGI@™』を開発しました。サステナブルな未来に向けて実際のアクションにつなげるために、自治体の取り組み状況をSDGsの軸で診断し、課題や優位性を見える化した『KIBOH2030™』の導入を進める中で地方自治体から聞こえてきた声を踏まえて、自治体が求める機能を実装したのが、『TSUMUGI@™』です。

PROFILE

日本工営株式会社・コンサルティング統括事業本部/基盤整備技術本部/地球環境事業部/環境技術部(サステナビリティ戦略ユニット兼務)
櫻井 幸子(サステナビリティ・コンサルタント)

2003年入社。入社以来、アジア・アフリカを中心とするODA・民間企業の海外プロジェクトにおいて、環境影響評価、環境保全計画、廃棄物管理など、環境社会配慮・環境管理分野の案件に従事。2021年以降は、地球環境事業部環境技術部及びサステナビリティ戦略ユニットを兼務。サステナビリティ戦略ユニットでは、自治体のSDGsに資する取り組みの加速化の支援として、自治体のSDGs取り組み状況の診断ツールのコンセプト設計・システム開発に携わる。

日本工営株式会社・コンサルティング統括事業本部/基盤整備技術本部/地球環境事業部/環境技術部(サステナビリティ戦略ユニット兼務)
幾瀬 真希(サステナビリティ・コンサルタント)

2014年入社。地球環境事業部環境技術部に配属後、アジアを中心とするODA・民間企業の海外プロジェクトとして、環境影響評価、住民移転計画策定など、環境社会配慮分野のさまざまな案件に従事。2018~2020年は、外務省国際協力局開発協力総括課にて、ODA無償資金協力の案件管理に従事。2021年以降は、地球環境事業部環境技術部及びサステナビリティ戦略ユニットを兼務。サステナビリティ戦略ユニットでは、自治体のSDGsに資する取り組みの加速化の支援として、自治体のSDGs取り組み状況の診断ツールのコンセプト設計・システム開発に携わる。

※部署名および役職・インタビュー内容は取材当時のものです

STORY

簡単な操作で、評価を見やすく、わかりやすく表示。地方創生SDGs推進を加速させるパートナーとなる。

−−−『TSUMUGI@™』は、地方自治体が自らのSDGsの取り組み状況を診断するセルフ・アセスメント・ツールです。国が提唱している「地方創生SDG」 を牽引する旗手は、国内の各地方自治体です。ただ、役所内は部課別に細かく分かれ、それぞれが高い専門性を持って公共事業を行っているため、それぞれの部課ごとにセルフ・アセスメントをしなければ、正確に状況を把握できません。この課題を解決するとともに、さらなるニーズに応えるべく開発を進めているのが、『TSUMUGI@™』です。このプロジェクトをどのように進めているのか、開発に携わっている環境技術部の櫻井と幾瀬に話を聞きました。

櫻井:もともと日本工営 には、2018年から構想が始まった『KIBOH2030™』という、中小企業向けのSDGs取り組み状況を診断できるツールがあります。この導入が進む中で自治体の皆様ともお話する機会をいただき、自治体のSDGsへの取り組みにかかる課題も見えてきました。自治体の取り組みがSDGs17のゴール達成に向けてどのように貢献しており、またどのような進捗段階にあるのか。客観的な現状把握や進捗管理、ステークホルダーへの情報発信等の課題があるなかで、自治体の皆様のサステナブルなまちづくりに資する活動の加速化を支援するツールとして、自治体の取り組み状況をSDGsの軸で診断し、課題や優位性を診断し、見える化するシステム『TSUMUGI@™』を開発することに致しました。『TSUMUGI@™』の活用によって、17のゴール別・部課別など、さまざまな角度からSDGs推進の進捗状況(プロセス)やガバナンス体制の構築状況を把握することが可能となります。SDGs推進に強い想いを持って取り組む茨城県つくば市の協力も得ることができ、2022年6月にβ版 が完成しました。今後は、本格版リリースに向けて、さらに実証実験を積み重ねていく予定です。

幾瀬:私たち日本工営は、総合建設コンサルタントとして、これまで国や自治体の業務に深く関わってきました。その経験を活かして『TSUMUGI@™』の開発に取り組んでいます。自治体の担当者の方々は、日頃からたくさんの業務を抱えておられますが、SDGs達成は自治体として真正面から取り組まなくてはならない大きなテーマです。日常業務もSDGs推進も両立できるように、簡単な操作とわかりやすい結果表示を心がけています。
特に評価の軸となる設問と回答における表現には、非常に苦労しました。SDGsには17のゴールがあることは広く知られていますが、その根底には169のターゲットと232の指標が存在しています。これらを網羅しつつ日本の自治体向けにローカライズし、中立性を保ち、恣意的な判断とならない表現にしなければなりません。そこで、設問監修の協力をいただいたのが、自治体のSDGsについて先進的な研究をされている法政大学の川久保俊教授です。川久保教授からのご助言や、つくば市で実施した各部署へのヒアリングや実証実験を通じて、精度の高い設問と回答を用意できたと考えています。また、「見やすく」「わかりやすく」という アウトプット方法についても、何度もブラッシュアップを繰り返してきました。

サステナビリティ・コンサルタントとして、地域に根ざしたSDGs推進の浸透と飛躍をサポートする。

−−−『TSUMUGI@™』の名称は、日本語の「紡ぐ」に由来しています。「未来を紡ぐ」「人と人の関係を紡ぐ」ものとして、名付けられました。また、『@』の後ろには自治体が管轄する地域名が入ります。サブタイトルは「あなたのマチからセカイへ」と設定しました。SDGsの達成は、地域にまで理念や行動を落とし込むことがスタート地点です。それぞれの地域が取り組みを継続していくことで、最終的には世界規模での達成を目指していくという循環を軸にしています。環境技術部を中心として進められているこのプロジェクトですが、どのようなやりがいや達成感があるのでしょうか。

幾瀬:達成感は、まだまだ感じられませんし、語る段階に達していないと思っています。『TSUMUGI@™』はあくまでSDGsという軸で自治体の取組状況を診断・見える化するツールですが、このツールの活用を通して目指しているのは、日本全国の約1,800の自治体のサステナブルなまちづくりに向けた取り組みの加速化を支援すること。また、その先の未来がSDGsの精神に則って、明るく拓けていることです。単にシステムの開発だけであれば完成が見えるところまで来ましたが、私たちにとっては、『TSUMUGI@™』の本格版がリリースされることがスタート地点です。導入が進み、ゴールの達成を目指す段階で、真の挑戦が始まります。
対して、やりがいは明確です。時代の先端の領域で、これまでになかったものをつくることは、技術者として胸が高鳴るものです。ゼロからスタートして、合宿なども時には行いながら、携わる全員が議論をして作り上げていく。地方自治体の方々とお会いして、未来への希望はもちろん、困りごとなどをお聞きする。それを、システムの機能としてどう落とし込むか、検討と試行錯誤を繰り返す。気付けば、自治体のSDGs達成という目標に向けて、たくさんの方々と夢も運命も共有しながら、新しい価値を共創していると感じます。何にも変えられないやりがいです。
これまでの業務でも環境分野を専門にしてきたため、常に「持続可能な社会」や「持続可能な開発」というテーマを目の前にしてきました。今回は、SDGsそのものが業務のため、これまで学んできたことを発揮する場が『TSUMUGI@™』だと考えています。
この『TSUMUGI@™』の開発は、私たちが所属する環境技術部だけで完結できるものではなく、社内のさまざまな知見を結集して取り組んできました。そこで気付かされたのは、それぞれの部署や技術者も、一丸になってSDGsを達成しようという姿勢を共通して持っていることです。日本工営も自治体の組織のように細かく専門部署に分かれていますが、SDGs達成という目標によって、各部署に横軸での連携が生まれ、オール日本工営で取り組むテーマになっているのだと確信しました。日本工営の技術者たちの経験は、環境、都市、河川、港湾、鉄道、道路、防災、電力など、多岐にわたります。『TSUMUGI@™』で浮き彫りになった自治体の課題の解決を、日本工営の技術で解決のためのサポートができることも、他にはない私たちの強みです。

−−−日本工営では、各自治体の担当者の方それぞれに、自治体SDGsの推進への課題や夢があると考えています。「何から始めたらよいかわからない」という声から、「世界を驚かせるような取り組み」まで、私たち日本工営は、2030年、そして2030年以降の未来を共創するパートナーとして、技術の提供・ツール開発に取り組んでいきます。