インタビュー

日本の元気の源、中小企業のSDGs達成を加速させる診断システム

中小企業の皆様のSDGsに関する取り組みや経営のヒントを30分で可視化

INTRODUCTION

世界の各国が、2030年までにSDGsの達成を目指しています。日本も国際社会の一員として、その動きを加速させていかなければなりません。『平成28年経済センサス』によると、日本の中小企業比率は、企業数ベースで99.7%。つまり、日本や地域の産業基盤となっている中小企業のSDGsへのアクションは、必要不可欠なものとなっています。そこで、日本工営は、SDGsの達成度やビジネスの可能性を可視化できる診断ツールの “KIBOH 2030”を開発。より良い未来へのアクションを国全体で起こしていき、日本をもっと元気にしていく一助となる事業を開始します。

PROFILE

日本工営株式会社・コンサルティング事業統括本部/地球環境事業部/環境技術部/課長(サステナビリティ戦略ユニット兼務)
菊池 淳子(サステナビリティ・コンサルタント)

アジア、アフリカ、南米各国のODAプロジェクトで自然資源管理、生態系保全、環境・社会・人権デューデリジェンスに関するアドバイザリー業務に従事。 現在は、サステナビリティ戦略ユニット長として、民間、自治体、公共事業におけるSDGs達成に資する取り組み加速化を推進している。海外コンサルタンツ協会(ECFA)サステナブル推進チーム チームリーダーを務める他、(一財)アジア太平洋研究所(APIR)「アジアビジネスにおけるSDGs実装化リサーチ」リサーチャーなど歴任。

日本工営株式会社・コンサルティング事業統括本部/地球環境事業部/環境技術部(サステナビリティ戦略ユニット兼務)
伊藤 さやか(サステナビリティ・コンサルタント)

地球環境事業部環境技術部に配属後、「KIBOH2030」の開発に従事。前職では投資支援サービス企業に所属し、株式市場や企業の経営戦略、実行力検証、成長性分析等の企業調査レポートを金融情報ベンダー(ロイター、ブルームバーグ、QUICK等)やオンライン証券、個人投資家等に提供する業務や、金融情報ベンダーのオンライン情報配信、企業調査支援等に従事してきた。前職の経験を活かし、サステナビリティ戦略ユニットでは企業のサステナビリティ関連の取組の見える化と情報開示の支援に取り組む。

日本工営株式会社・コンサルティング事業統括本部/地球環境事業部/環境部(サステナビリティ戦略ユニット兼務)
九石 朋絵(サステナビリティ・コンサルタント)

地球環境事業部環境部に配属後、東京2020大会や風力発電施設の環境アセスメント業務を通じ、環境調査、環境保全対策検討などを実施。このほか地元住民対応などにあたってきた。業務を通じて、法や条例の要件にかからない規模の環境アセスメントの重要度を再認識する。アセスのノウハウを生かしSDGsへの取組み状況を調査している。サステナビリティ戦略ユニットでは企業の取組み状況のくみ上げ、分析を行う。

※部署名および役職・インタビュー内容は取材当時のものです

STORY

地域を支える中小企業こそ、SDGs/ESGの投融資ニーズを高める鍵となる。

−−−日本国内でもSDGs達成への認識が高まってきました。実際に、日本工営が中小企業をリサーチしたところ、「未来へのアクションを起こしたい」という企業は、規模に関わらず数多く見受けられます。しかし、同時に「何に取り組めば達成を目指せるのかわからない」「SDGsにおける自社の強みがわからない」という悩みも抱えていました。“KIBOH 2030”は、そのような中小企業をターゲットに開発。どのようにプロジェクトを進めてきたのか、チームリーダーの菊池さんに話を聞きました。

菊池:リサーチの結果、数割の企業がSDGsに対して何らかのアクションを行っていました。しかし、そのほとんどは、自社の事業がSDGsの17の目標に対して、何番に結びつくかを発信するもの。確かにそれは、第一歩目として必要なことです。しかし、本当に社会から求められていることは、その認識からアクションを起こしていくこと。中小企業は、地域経済の基盤そのものですから、事業ベースでアクションを起こし、持続可能な取り組みにすることが目指す目標となります。
“KIBOH 2030”は、既存の事業でSDGsに貢献していること、今後の取り組みでSDGsに貢献できること、ESG経営を目指すために必要なことなどを可視化してくれる羅針盤になるように開発しました。
これまでに見られたSDGsの診断ツールは、項目があまりにも多く、SDGs17の目標に重きを置きすぎています。そこで、私たちは企業の環境(Environment)、社会(Social、Society)、ガバナンス(Governance)への取り組みを、「経営管理」「環境マネジメント」「労働人権」「気候行動」の4つにカテゴリー化し、 SDGsのセルフアセスメント(自己評価)を可能にしました。
また、設問数も50に絞り込み、4択で答えられるようにしています。たった30分で診断できることも、強みのひとつ。自社のSDGsに資する取り組みと達成度をアピールできなかった中小企業が、時間や労力をかけずに、他者に評価してもらえる情報源を持つことができます。地域金融機関や自治体にとっては、SDGsを起点とした地域のSDGs普及・理解促進、事業機会の発掘、融資先コンサルティングにつなげられるシステムです。

図 SDGs アクションスコア(アウトプットの一例)

サステナビリティ・コンサルティングから、日本全体のSDGs達成を目指す。

−−−“KIBOH 2030”は、2018年に構想ができ、2019年から株式会社TREEと共同開発でプロジェクトを進めてきました。15年以上前からサステナビリティ社会にフォーカスして事業を展開してきたTREE社の知見と、75年以上、地域社会の課題解決をコンサルという立場で行ってきた日本工営の知見を、余すことなく盛り込んでいます。ベータ版の実証では、さまざまな意見やデータを獲得し、設問の精度を向上させるなど、2021年12月の正式版のリリースに役立てました。このプロジェクトに携わるやりがいや原動力は一体、どこにあるのでしょうか。

菊池:実は達成感という切り口では、まだ感じることはできません。システムの開発がゴールではないからです。目標は、地域の中小企業をSDGsの観点から盛り上げて、日本のSDGs達成を実現すること。もちろん、苦労もたくさんありますが、より良い未来を目指すためですから、毎日が勉強ですし、発見もたくさんあります。
10年ほど前までは経済至上主義の時代でした。しかし、このままでは地球環境がおかしくなってしまうと人類が気付き、価値観が変わり始めています。その流れの中で国連がSDGsを宣言し、さらには新型コロナウイルス感染症の広がりから、このままでは地球や自国が立ち行かなくなるとなりました。
社会の価値基準が変われば、当然ながら、社会が企業に求めるものも変化します。企業の存在意義は、社会の要請に応えること。つまりは、社会の要請に応えられるように、事業そのものを変革させていくことが、現代の企業の使命になりつつあります。
もちろん、さまざまな経営者の方々と出会う中で、「儲かるのか、儲からないのか」という話題になることもあります。しかし、私は「社会の要請は、需要そのものともいえます。ぜひ、一緒に考えていきましょう!」と語りかけてきました。実際に海外で検証されていることですが、近年、SDGsの取り組みと業績が正比例するという相関関係が確認され始めています。私たちは、サステナビリティ・コンサルタントとして、診断を受ける経営者の方々とともに、未来への歩みを加速させていきます。
個人的な思いでもあり、周囲の社員も同じ気持ちを共有していますが、自社が100年後にも社会から必要とされる企業であってほしい。そのバトンを今の社員たちが手にしていて、私たち自身が持続可能なビジネスを加速させることで、次世代の橋渡し役になりたいです。創業者の久保田豊が話した「誠意を持って事にあたり、技術を軸に社会に貢献する」という言葉を胸に、今日もサステナビリティの業務に携わっています。

−−−多くのステークホルダーの参画により完成した正式版の“KIBOH 2030”。その中身は、短時間でわかりやすく、アクションに結びつけやすいように何度もブラッシュアップされてきました。2021年12月、“KIBOH 2030”のリリースから、日本工営は日本のSDGsをひとつ上のステージへと導いていきます。