プロジェクト挑戦記日本工営都市空間の挑戦

日本工営の都市空間事業と玉野総合コンサルタントは2022年7月1日に組織統合し、「日本工営都市空間株式会社」として国内外の都市基盤形成市場への参入拡大を目指します。多様化する都市空間領域の社会課題を、建築と土木を融合した事業展開でどう解決していくのか。統合の狙いを同社の吉田典明取締役社⻑と牧村直樹取締役会⻑が語りました。

左から順に、牧村直樹取締役会⻑、吉田典明取締役社⻑。

――日本工営の都市空間事業と玉野総合コンサルタントが一つになり、新たな都市空間の創出に挑戦していきます。まずはそれぞれがこれまで培ってきた強みを教えてください。

牧村

玉野の強みは大きく3つ。1つ目は総合コンサルタントとして、調査から計画、設計、施工管理までワンストップで業務をこなせることです。2つ目はアドバイザーとして都道府県や市町村など自治体のお客様と深い信頼関係を築き上げてきたこと。3つ目は土地区画整理事業で培った技術力です。

吉田

建築・ランドスケープデザインを含む都市デザインを手掛ける日本工営の都市空間事業は、創造性を駆使して一から事業を組み立てる事業組成力が強みです。それに『社会に貢献する』精神を持つのも強みの一つ。私も入社当時からこの考えを徹底してたたき込まれてきましたが、誰かの役に立ちたいという心根は、未来の都市づくりにとって欠かせないものです。日本工営グループはこれまで潜在的な社会のニーズを顕在化し、そこに対して最適解を提供してきました。両者の強みを取り入れ、都市空間領域における都市の総合的なプロデュースに関わっていくことが、統合の狙いです。

――日本工営都市空間として、今後はどのようなまちづくりを目指しますか。

牧村

都市が抱える問題といえば、目先のことなら建物の老朽化ですが、人口減少の加速にも目を向けなくてはいけません。20〜30年後には日本の総人口が1億人を割ると推定されています。これからは老朽化への対応はもちろん、先を見据えて人口減に合わせたまちづくりをしていく必要があります。こうした広い視野での問題の解決には、日本工営が持つ高いテクノロジーや発想力が不可欠です。ですから今回の統合は、玉野の事業領域をさらに拡大するためでもあります。これから都市空間事業と玉野の社員一同で、(新時代の)社会資本への投資をしっかりとコーディネートするリーディングカンパニーを目指していきます。

吉田

今後のまちづくりで重要な視点は、ただ単純に建物をつくるのではなく地球環境を考慮していくことです。脱炭素の視点や、これから起こりうる気候変動や災害に適応できるまちづくりとして安心・安全のレジリエンス(適応力)を高めていく必要があります。かつての私たちの仕事はインフラ整備までが終着点でしたが、これからはそこに住む人たちが活力ある暮らしを営めているかということまでを含めて事業に取り組まなくてはいけません。玉野の多彩な技術力と日本工営グループの世界各地の拠点や顧客基盤などを生かして、都市の持つさまざまな課題を解決に導くことができればと思います。

――「理想の都市」とは、どのようなものでしょうか。また、具体化したい構想などはありますか?

吉田

これまで都市を作ってきた環境や、人々のニーズの多様化など、私が日本工営に入社した頃とは状況がかなり変わりました。都市には、人々が働き、学び、コミュニケーションをするための生活の拠点があります。都市のニーズを満足させる場を形成するために、私たち新会社の技術が大きな助けになると自負しています。例えば、玉野の基盤がある中部地区の市町村からその実績を作り、全国に広げ、先頭を切っていきたい。最近は、お客様に信頼をいただけると、『こういうことに悩んでいるがどうすればいいのか』と相談していただく場面が増えてきました。これは技術者としても嬉しい事です。実績や経験値を増やしてお客様に寄り添っていける組織になっていきたいですね。

牧村

いま吉田社長は中部地区のサポートについておっしゃいましたが、私もそこは重要だと思います。日本を代表する企業が多く集まる中部で、安心・安全で住みやすく、観光にも行きたくなる、中部の良さをアピールした都市づくりを一つのテストケースとして実現したいですね。

――キーワードになる「社会貢献」の中身は、昔と今とで異なるのでしょうか。

吉田

私が入社した四十数年前は、発注者の仕事を間違いなく進め、良い品質を提供するのが社会貢献という印象がどちらかといえば強かった。ですが、今はどんなサポートをして何を提供していくかまで考えるのが社会貢献だと思います。(社会貢献の)幅広さ、奥深さは昔と今では圧倒的に違っていて、建設コンサルタントへの期待も大きくなっています。発注された業務を着実に行うことは大前提ですが、その都市をいかにより良く変えていくか、周辺の環境を考慮しながら提案することが、これからの私たちの使命だと思います。

牧村

同感です。今は事業遂行に加えて社会環境を含めた経済合理性が求められています。その投資によって本当にその都市が良くなるのか、効果が出るのかを考えて計画を立てていくのがこれからの社会貢献です。これからの建設コンサルタントは一人ひとりが多角的にものを見るように変わっていかなくてはなりません。それが真のアセット(資産)マネジメントなのではないでしょうか。『この新会社はこんなことができるのか』と驚かせる仕掛けをここ1〜2年の間に世に出していきたいですね。例えば、デジタルツイン技術でまちづくりの検討を進めていくなど。日本工営の中央研究所の技術と玉野の調査技術と組み合わせれば実現可能ではないかと思います。

――コロナ禍が一時より落ち着き、国外とのやりとりも活発になりつつあります。海外展開を今後どう充実させていくのでしょうか。

牧村

玉野が強みを持つ測量・計測技術も海外で広げていきたいですね。海外では、測量の技術精度が低い国や地域も多い。日本の精度の高い技術を日本工営グループの事業創生の力を使って売り込めば、さらに事業の幅が広がっていくと思います。またアジア全体で見れば人口が増加傾向にありますが、日本をはじめ韓国や中国では人口は減っていきます。先の話になるかもしれませんが、日本での『人口が減っていくケースのまちづくり』の実績を(人口減の)他国に応用することもできるはずです。

吉田

私は日本もグローバルの一つと考えており、まずは国内で実績を作りながら、同時にアジアのまちづくりに貢献していきたいです。アジアはまちづくりが伸びていく市場です。日本工営は以前からコンサルティング事業をアジアで展開しており、現地法人・現地事務所もあるため、アジアでの知名度は高い。都市空間事業では既にアジアで事業展開しているイギリスの建築設計会社BDP社とは連携しながら進めていますし、玉野もミャンマーに進出しています。コンサルティング事業で手掛けるアジアでの鉄道事業の実績やBDP社の建築技術などを組み合わせて、日本工営グループとして、人口が増加するアジアのまちづくりに貢献度を高めていくのは必須だと考えています。

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