衛星データ活用による安全な社会の創出

近年、大規模な集中豪雨に伴う氾濫・土砂災害が多発しています。これらの災害時に迅速な対応を行うためには、早急に災害の全容を把握することが重要となります。現在は、発災後、可能な限り早期にヘリや航空機による全容把握を実施していますが、広域かつ同時多発的に発生した災害への対応は限界があるとされています。また、昨今国内外において、インフラ老朽化による重大事故リスクの顕在化や維持管理費用の高騰が社会課題となっています。

これらの課題を解決するため、日本工営では、広域監視を得意とする衛星を活用した豪雨被害実態把握技術の開発、インフラモニタリングによる防災・減災事業に取り組んでいます。

日本工営は、毎年のように発生する災害時には実際に現場に赴いて最前線に立ち、更なる被害を食い止めるための緊急対応や、それに続く復旧対策の取組みに尽力しています。そして70年以上の間、ダムや道路など、ほぼ全ての分野の社会インフラにおいて設計から維持管理まで経験を積み重ね、蓄積されてきたノウハウ・技術力を持っています。どのような災害がどのような規模で起きたらインフラが壊れるのか、どう作ればその災害に耐えることができるインフラになり得るのか、社会基盤づくりの卓越した知見と人財を持つ日本工営だからこそ、最新の技術を駆使して安全な社会基盤を創出する責務があると認識し、安全な社会基盤を創出し、日本のみならず世界中の一人ひとりの安全な日常を守ることを目指しています。

衛星データの活用イメージ
羽田空港滑走路の高精度モニタリング

衛星SAR画像を用いた解析は、衛星から地上に照射したレーダ波の反射波を解析し地表面を観測する技術です。これは広域の地表面の変動量を一括で把握できる一方、空港の滑走路のような平滑面の観測はレーダ波の反射が弱く、一般的に把握が難しいとされていました。この課題を解決するため、日本工営では、羽田空港国際線エプロン部において実証実験を行い、従来解析手法を改良し、反射特性を改善するリフレクタを活用した高精度かつ安定的な変状量を解析する手法を開発しました。本実証実験は、エンドユーザーのニーズを踏まえた“真に使えるサービス”の創出を目的とする、内閣府「2020年度 課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」に採択されています。

  • 衛星による観測技術の一つ。宇宙空間にある衛星から電波を発射し、地上から跳ね返ってきた電波から地表面を観測する。

スカパーJSAT・ゼンリンとの業務提携

スカパーJSAT、ゼンリン、日本工営は、衛星から得られる情報を解析し、平常時の地形、施設の変状、災害時の被害情報などを詳細な地図上に表示、統計結果をユーザーのニーズに応じた形で提供する『衛星防災情報サービス』の開発に向け、2020年10月に業務提携しました。3社のデータ、ノウハウの組み合わせにより、企業や自治体が管理する敷地や施設における災害リスクや災害発生後の被災状況を、日本全国1,741市区町村全地域において、より高精度に把握することができるようになります。個別建物レベルでの状況把握ができる国内初のサービスとして、2021年4月にサービス開始しました。

担当者コメント

スカパーJSATとは2019年11月以降、衛星データを活用したソリューションの開発を進めてきました。ここにゼンリンの地図情報を組み合わせ、災害発生後には迅速な救難活動・復旧活動を支援するサービスを展開し、平時より災害に強いまちづくりをサポートしていきます。さらに今後は、防災分野に限らず、農業・環境分野にも衛星解析技術を展開していくことを目指します。

コンサルティング事業統括本部
流域水管理事業本部 河川水資源事業部
副事業部長 陰山 建太郎

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